会社の「事業目的」とは何か

事業目的は、その会社が行う事業の範囲を示すものです。会社法第27条は株式会社の定款に、第576条は合同会社を含む持分会社の定款に、それぞれ「目的」を記載または記録することを求めています。目的は登記事項でもあり、設立後は登記事項証明書でも確認されます。

法務局で目的を登記できることと、建設業許可を受けられることは別の問題です。登記を終えただけで、建設業法上の許可要件を満たしたことにはなりません。反対に、目的の文言だけを見て必要な許可業種を決めることもできません。

定款作成と認証の基本では、定款の役割と株式会社・合同会社の違いを整理しています。会社形態を費用面から比較したい方は、合同会社と株式会社の設立費用もご覧ください。

なぜ建設業許可で事業目的を確認するのか

建設業許可は、土木一式工事と建築一式工事の2つの一式工事、27の専門工事を合わせた29業種に分かれています。申請では、法人がどのような事業を行う会社なのか、許可を受けようとする建設業との関係を、定款や登記事項証明書等で確認します。

ただし、事業目的そのものが建設業法第7条の独立した許可要件というわけではありません。建設業許可では、経営業務の管理体制、営業所技術者等、誠実性、財産的基礎、社会保険、営業所、欠格要件等を別に確認します。事業目的は、法人の事業範囲を確認するための重要な資料の一つです。

大阪府知事許可には、目的欄の記載範囲の目安があります

大阪府の「建設業許可申請の手引き(令和8年3月改訂版)」は、定款と商業登記の目的欄について、申請業種ごとの記載範囲の目安を示しています。「建設業」「土木建築工事請負」は全業種に共通する例として掲げられ、「建築工事」「土木工事」「設備工事」が対応する範囲も表で整理されています。

これは「建設業」と書けば29業種すべての許可を受けられる、という意味ではありません。大阪府の手引きは、個別業種まで目的欄から判別できることまでは求めていませんが、実際に許可を受ける業種は工事内容と各要件に基づいて審査されます。また、この取扱いは大阪府知事許可のものです。大臣許可や他府県知事許可では、申請時点の管轄行政庁の案内を確認します。

申請時点で申請業種を確認できる目的の記載がない場合について、大阪府の現行手引きには、任意書式の誓約書(欠格要件に関する様式第6号とは別の書面)を提出し、次回の決算変更届までに定款と商業登記を変更する取扱いが示されています。許可後最初の決算変更届には、変更後の定款の写しを添付するとされています。ただし、どの案件でも同じ対応になるとは限りません。実際の対応は申請前に管轄へ確認します。

まず「実際に請け負う工事」を整理します

目的の文言を先に選ぶのではなく、誰から、どのような工事を、どの立場で請け負うのかを確認します。例えば「建物に関する仕事」でも、新築工事を元請として総合的に管理するのか、内装だけを請け負うのか、電気設備や給排水設備を施工するのかで、検討する許可業種は変わります。

一般的な目的の例としては、次のような表現があります。

実際に予定する工事の例 目的に用いられることがある表現例
土木一式工事 土木工事業
建築一式工事 建築工事業
木工事・造作工事 大工工事業
足場・掘削・コンクリート工事等 とび・土工工事業
電気設備工事 電気工事業
給排水・空調設備工事等 管工事業
内装工事 内装仕上工事業
工作物の解体工事 解体工事業

これらは一般例であり、この文言を使えば必ず登記や許可の審査を通るという保証ではありません。工事の内容や請負形態を確認し、会社の実態に合う表現へ整えます。

「附帯又は関連する一切の事業」は補助的な表現です

目的の末尾に「前各号に附帯又は関連する一切の事業」と置く例があります。この文言は、前に掲げた事業に付随する業務を示す一般的な補助表現です。それだけで、具体的に予定する建設工事や必要な許可業種の確認が不要になるわけではありません。

また、建築一式工事・土木一式工事の許可は、専門工事をすべて自由に請け負える包括的な許可ではありません。一式工事は総合的な企画、指導、調整のもとで行う工事です。専門工事だけを単独で請け負う場合は、その専門工事の許可が必要かを別に判断します。

将来の事業は、具体性のある範囲で考えます

設立後に事業目的を追加すると、会社形態や定款に応じた機関決定と変更登記が必要になり、時間と費用がかかります。そのため、近い将来に許可業種の追加や関連事業を予定しているなら、設立時に候補へ含める意味があります。

一方で、可能性がほとんどない事業まで長く並べると、会社が何をするのか分かりにくくなります。次の3つに分けると整理しやすくなります。

  1. 設立直後から行う事業
  2. 取引先との話があり、数年内に始める可能性が高い事業
  3. 現時点では構想だけで、具体的な準備がない事業

1と2を中心に、受注予定、必要な資格者、資本金、営業所等も一緒に確認します。将来の事業を含める場合でも、許可が必要な業務と不要な業務を混同しないことが大切です。

設立時によくある注意点

抽象的な言葉だけで決めない

「各種工事」「建物関連事業」など、実際の業務が分かりにくい表現だけで進めると、許可申請の際に追加確認が必要になることがあります。大阪府の目安を参考にしつつ、予定する工事を説明できる目的に整えます。

目的だけ整えて、ほかの許可要件を見落とさない

目的が適切でも、役員の経営経験、営業所技術者等の資格・実務経験、財産的基礎、営業所等の許可要件を満たさなければ許可は受けられません。建設業許可の6つの確認事項も設立前に確認してください。また、許可の要否を請負金額から確認する場合は、500万円未満の工事と許可の考え方をご覧ください。

登記と許可申請の担当を混同しない

当事務所は、会社の基本事項、定款、電子定款、許認可を見据えた事業目的を整理し、設立後の建設業許可申請を支援します。設立登記や目的変更登記は、会社・代表者本人または司法書士が申請します。当事務所は登記申請を行いません。税務は税理士、社会保険・労務手続は社会保険労務士の担当領域です。

会社設立から建設業許可までの流れ

  1. 予定事業を整理する:実際に請け負う工事、元請・下請の立場、取引先から求められる許可を確認します。
  2. 会社の基本事項と定款案を整える:会社形態、商号、本店、資本金、役員、決算月とともに事業目的を決めます。
  3. 設立登記を行う:登記は会社・代表者本人または司法書士が申請します。
  4. 許可業種と要件を確認する:29業種のうち必要な業種を選び、経営・技術・財産・営業所等の要件と証拠資料を確認します。
  5. 建設業許可を申請する:申請時点の最新様式と管轄の取扱いに合わせて書類を整えます。

会社設立と建設業許可を別々に考えると、設立後に資本金、役員、営業所、目的等を見直すことがあります。会社設立支援大阪の建設業許可申請を通して確認すると、担当範囲と準備順を整理できます。料金は料金案内をご確認ください。

よくある質問

事業目的を「建設業」と書けば、すべての工事に対応できますか。

いいえ。大阪府の手引きでは「建設業」は目的欄の記載例の一つですが、建設業許可は実際に請け負う工事内容に応じた業種ごとに審査されます。建築工事業(建築一式工事)の許可だけで、すべての専門工事を単独で請け負えるわけでもありません。予定する工事から必要な業種と要件を確認します。

事業目的に建設業の記載がないと、必ず不許可になりますか。

一律に不許可になるとはいえません。大阪府の現行手引きには、目的欄から建設工事を請け負う営業であることを確認する考え方と、記載が不足する場合の取扱いが示されています。会社の現状、申請業種、目的の文言を確認し、必要な対応を申請前に管轄行政庁へ確認します。

将来取得するかもしれない許可業種も入れるべきですか。

近い将来に具体的な受注予定がある工事は、設立時に検討しておくと手戻りを減らせます。一方、予定のない事業まで無制限に並べる必要はありません。現在の事業、取引先から求められる工事、数年内の計画を分けて整理します。

設立後に事業目的を追加・変更できますか。誰が手続を行いますか。

設立後も、会社形態や定款に応じた機関決定を経て事業目的を変更できます。目的は登記事項でもあるため変更登記が必要です。登記は会社・代表者本人または司法書士が申請し、当事務所は登記申請を行いません。必要な議事録・同意書等を含め、司法書士と役割を確認して進めます。

最新情報の確認先

本記事は2026年9月4日時点の一次情報を確認して作成しています。法令、手引き、審査上の取扱いは変わることがあるため、会社設立時・許可申請時の最新版をご確認ください。

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会社設立の段階から、建設業許可までの準備を整理します。

予定する工事、会社形態、役員、資本金、営業所、技術者の状況を確認し、定款の事業目的と許可申請までの順番をご案内します。登記、税務、社会保険・労務は担当領域を分けて進めます。

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