結論:求人票を作る前に、実際の仕事から検討します

「技人国と特定技能のどちらで採用すればよいですか」という相談では、先に在留資格を選んで仕事内容を合わせるのではなく、採用後に任せる仕事を具体化することが出発点です。

同じ建設会社でも、設計・積算・システム開発を主に担当するのか、建設分野の業務区分に該当する施工の仕事を担当するのかで検討の方向が変わります。職種名を「技術職」「スタッフ」としただけでは判断できません。

技人国は専門的・技術的な業務等が対象です

技術・人文知識・国際業務は、日本の会社等との契約に基づき、理学・工学等の自然科学、法律学・経済学・社会学等の人文科学の技術・知識を要する業務、または外国の文化に基盤を有する思考・感受性を必要とする業務に従事するための在留資格です。

代表例には、機械・IT等の技術者、企画・経理・マーケティング、通訳・翻訳等があります。ただし、「大卒なら何でもできる」「事務職ならすべて該当する」という意味ではありません。実際の業務と、本人の専攻や職歴との関連を資料で確認します。

技術・人文知識の業務では、関連科目を専攻した大学等の卒業や、原則10年以上の関連実務経験等が基準です。国際業務は、対象業務と原則3年以上の関連実務経験を確認し、大学卒業者が翻訳・通訳・語学指導に従事する場合などには例外があります。いずれも日本人が同じ仕事に従事する場合と同等額以上の報酬が必要です。

技人国に一律の日本語試験基準はありません。ただし、2026年4月15日以降、所属機関がカテゴリー3・4で、主に言語能力を用いる翻訳・通訳や接客等に従事する申請では、業務で使用する言語についてCEFR B2相当の資料が原則必要です。カテゴリー1・2でも審査上求められる場合があります。

製造、接客、建設等の現場で反復的な作業を主な仕事とする場合は、通常、技人国の活動としては説明が難しくなります。一方、入社当初の実務研修や専門業務に付随する作業は、名称だけで機械的に除外せず、期間、業務量、日本人社員にも同様に行うか、在留期間中の活動全体などから判断されます。技人国で認められにくい仕事も、採用前の確認にご利用ください。

特定技能は対象分野・業務区分と受入れ体制を確認します

特定技能は、特定産業分野に属する業務を対象とします。会社がその業界に属しているだけでなく、外国人本人が担当する業務が、受入れ可能な分野と業務区分に該当するかを確認します。

対象分野は2026年にも更新され、閣議決定後も準備が整うまで受入れを開始しない分野があります。本記事では分野数を固定せず、採用時点の出入国在留管理庁の分野別情報で、受入開始状況、業務区分、分野固有の基準を確認します。

特定技能1号

相当程度の知識または経験を必要とする技能を要する業務が対象です。技能試験と日本語試験への合格等が基本ですが、技能実習2号を良好に修了した場合は、従事予定業務との関連性等に応じて技能試験・日本語試験の一部または全部が免除されます。分野によって必要な試験や日本語水準が異なる場合があります。

受入れ機関は、適切な雇用契約、自社の適格性、支援体制等の基準を満たし、1号特定技能外国人支援計画を作成・実施します。支援の全部を登録支援機関へ委託する方法のほか、基準を満たす受入れ機関が自ら実施し、必要に応じて一部を委託する方法があります。一部委託でも受入れ機関が支援体制の基準を満たし、責任を負います。詳しい受入れの順序は特定技能外国人の受入れ手続をご確認ください。

特定技能2号

特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務が対象です。1号から自動的に移行する制度ではなく、分野ごとの技能試験や実務経験等を確認します。1号のような支援計画の対象ではありません。

技人国と特定技能の主な違い

比較項目 技人国 特定技能1号 特定技能2号
制度の対象専門的・技術的業務または国際業務特定産業分野の相当程度の技能を要する業務対象分野の熟練した技能を要する業務
本人側の代表的要件学歴・専攻と業務の関連、実務経験等技能・日本語試験等(免除の場合あり)分野別の技能試験・実務経験等
対象分野産業分野の限定ではなく、活動内容で判断受入可能な特定産業分野・業務区分に限定2号の受入対象となる分野・業務区分に限定
企業側の確認契約、業務内容、継続性・安定性、報酬等雇用契約、受入れ機関の基準、支援、分野別要件等雇用契約、受入れ機関の基準、分野別要件等
1号支援特定技能1号支援計画の対象外支援計画を作成・実施特定技能1号支援計画の対象外
在留期間5年・3年・1年・3月。更新は個別審査個別指定(3年以内)。通算原則5年以内3年・2年・1年・6月。更新が必要
家族帯同扶養する配偶者・子は家族滞在を検討原則不可(例外的取扱いあり)配偶者・子は家族滞在を検討
転職・所属機関変更新しい業務の該当性と届出等を確認所属機関変更は変更許可が必要所属機関変更は変更許可が必要
報酬日本人が同じ仕事をする場合と同等額以上同等業務の日本人と同等以上同等業務の日本人と同等以上

特定技能2号には、1号のような通算原則5年の上限はありません。ただし、個々の在留期間がなくなるわけではなく、引き続き在留するには更新許可が必要です。家族についても自動的に帯同できるのではなく、配偶者・子が「家族滞在」の要件を満たして許可を受ける必要があります。

採用シーン別に見る検討の方向

設計・開発・通訳・企画等を主に任せる場合

設計、システム開発、データ分析、積算、経理、海外取引、翻訳・通訳等を主な仕事とする場合は、技人国の活動に当たるかを確認します。本人の専攻や職歴と仕事の関連、社内での役割、業務量、成果物を具体化します。

対象分野の現場業務を主に任せる場合

建設、製造、外食、介護等で、特定技能の対象分野・業務区分に定められた仕事を主に任せる場合は、特定技能を検討します。本人の試験・移行要件だけでなく、会社の受入れ基準、雇用条件、協議会や支援体制等も確認します。

専門業務と現場業務が混在する場合

「午前は通訳、午後は製造」「設計も施工も担当」といった求人は、作業名を並べるだけでは判断できません。主たる業務、各業務の量、専門性を必要とする理由、研修・配置計画を整理します。申請に合わせて職務名だけを書き換えるのではなく、採用後の実態と提出資料を一致させる必要があります。

転職・配置変更でも仕事内容の再確認が必要です

技人国の方が転職する場合は、新しい勤務先での仕事が引き続き技人国の活動に当たるかを確認します。本人は契約終了や新たな契約から原則14日以内に所属(契約)機関に関する届出を行います。就労資格証明書は確認資料として利用できますが、取得が常に必須でも、将来の更新を保証するものでもありません。

特定技能の方が所属機関を変更する場合は、同じ分野であっても在留資格変更許可申請が必要です。変更許可前に新しい所属機関で特定技能として働き始めることはできません。特定技能外国人が転職するときの手続を踏まえ、退職日、申請、許可、就労開始、本人と所属機関の届出を分けて管理します。

技人国から特定技能、特定技能から技人国へ移る場合も、社内の呼称変更だけでは足りません。変更先の活動、本人要件、所属機関の要件を満たし、在留資格変更許可を受ける必要があります。

初めて外国人を雇う会社の確認手順

  1. 配属先と、実際に任せる日常業務を書き出す
  2. 専門業務・付随業務・現場業務の量を整理する
  3. 候補者の在留資格、学歴・職歴、試験、在留期限等を確認する
  4. 技人国の活動または特定技能の分野・業務区分と照合する
  5. 報酬、雇用契約、会社資料、受入れ体制等を確認する
  6. 必要な在留申請を行い、許可後に対象業務での就労を始める
  7. 採用後の外国人雇用状況届出、在留期限、配置変更等を管理する

在留申請と、雇用契約・労務管理・社会保険・税務は同じ手続ではありません。労務・社会保険は社会保険労務士や関係機関へ、税務は税理士等へ確認してください。外国人を初めて雇う会社の確認事項では、在留カードの確認から採用後の届出までを整理しています。

公式情報

本記事は2026年9月11日時点で、次の一次情報を確認して作成しています。対象分野、業務区分、試験、支援、提出書類や運用は変更されることがあるため、実際の採用・申請時には最新版をご確認ください。最終的な許否は出入国在留管理庁が個別に判断します。

求人票・雇用契約を固める前に仕事内容を整理しましょう

技人国と特定技能は、対象業務と会社側の対応が異なります。採用前に、予定する仕事、配属先、必要な知識・技能、現場業務の有無を整理しておくことが大切です。

在留資格・外国人雇用の総合案内もあわせてご覧ください。当事務所では、会社と候補者の状況から、検討する在留資格、申請区分、準備資料を整理します。初回フォームには機密情報を送らず、仕事内容と採用予定時期の概要をお知らせください。

外国人採用前に在留資格を相談する

予定する仕事内容と在留資格について相談する

よくある質問

技人国と特定技能では、どちらが採用しやすいですか?

一律にどちらが採用しやすいとはいえません。技人国は実際の業務の専門性と本人の学歴・職歴等との関連を、特定技能は対象分野・業務区分、本人の技能・日本語水準、受入れ企業の基準等を確認します。求人名ではなく、任せる仕事と双方の要件から検討します。

同じ会社で技人国と特定技能の外国人を雇えますか?

会社がそれぞれの在留資格の要件を満たせば、同じ会社で受け入れることは可能です。ただし、同じ職場でも本人ごとに担当業務が認められた活動に合っているかを確認します。特定技能では分野・業務区分や受入れ機関の基準、1号の支援も別に確認が必要です。

技人国から特定技能、特定技能から技人国へ変更できますか?

変更先の活動、本人、所属機関に関する要件を満たし、在留資格変更許可を受ければ変更できる場合があります。社内の呼称や配属を変えるだけでは切り替わりません。変更許可を受ける前に、変更後の在留資格を前提とする仕事を始めないよう注意が必要です。

特定技能1号の支援は登録支援機関へ必ず委託する必要がありますか?

登録支援機関への委託が常に必須というわけではありません。支援の全部を登録支援機関へ委託する方法のほか、基準を満たす受入れ機関が自ら実施し、必要に応じて一部を委託する方法があります。一部委託でも受入れ機関が支援体制の基準を満たし、責任を負います。