初めての外国人雇用は、在留カードを見るだけでは足りません

外国人を採用するときは、予定する仕事に就ける在留資格があるかを確認します。ただし、公正な採用選考と人権への配慮から、選考中に在留カード等の提示を求めるのではなく、まず本人の口頭または書面による自己申告で在留資格や就労の可否を確認します。

確認は、次の順序で進めると整理しやすくなります。

  1. 募集前に、実際に任せる仕事を具体化する
  2. 選考時は、在留資格や資格外活動許可の有無を本人の自己申告で確認する
  3. 採用内定後に在留カードや旅券等の提示を受け、本人・書類・仕事内容を照合する
  4. 必要な在留手続を済ませたうえで就労を開始し、外国人雇用状況を届け出る
  5. 採用後も在留期限、仕事内容、配属の変更を継続して管理する

選考では国籍や出身地ではなく、本人の適性・能力と職務上必要な条件を基準にします。そのうえで採用内定後、就労を開始する前に書類を確認します。在留手続が必要な場合は予定した日から働けないこともあるため、担当業務と必要な確認期間を見込んで入社日を調整します。

STEP 1 選考時の自己申告と、内定後の在留カード等を確認する

在留カードの提示は採用内定後に求める

選考中は在留資格や資格外活動許可の有無を本人の自己申告で確認し、採用内定後に在留カードの原本の提示を求めます。本人の同意を得て、少なくとも次を確認します。

  • 氏名と本人が一致しているか
  • 在留資格
  • 在留期間の満了日とカードの有効期間
  • 表面の「就労制限の有無」
  • 裏面の「資格外活動許可欄」
  • 住居地や申請中の記載など、採用判断に関係する追記

2026年6月14日から通常の在留カードが新様式となり、申請によりマイナンバーカード機能を一体化する「特定在留カード」の制度も始まりました。特定在留カードの取得は任意で、旧様式の在留カードも有効期間中は引き続き有効です。新様式では「在留期間」「許可の種類」「許可年月日」「交付年月日」が券面から省略され、ICチップに記録されます。一方、「在留期間の満了の日」「カードの有効期間の満了の日」「就労制限の有無」「資格外活動許可を受けている旨」は券面で確認できます。

在留期間の満了日が経過している場合は、在留期間更新許可申請等の申請中かも確認します。窓口申請では原則としてカード裏面に「申請中」と記載されますが、オンライン申請では記載されないため、申請受付番号等が記載された受付完了メールも確認します。特例期間中に行えるのは、従前の在留資格に基づく活動です。

読取アプリと失効情報照会は補助的に使う

出入国在留管理庁は、在留カード等読取アプリケーションと失効情報照会を案内しています。読取アプリは最新版へ更新してください。2026年8月19日公開の更新版では、新様式のICチップに記録された「在留期間」「許可の種類」「許可年月日」を確認できますが、「交付年月日」は表示されません。

読取アプリはICチップを認証し、読取情報と券面を照合するために利用します。失効情報照会の結果だけではカード自体の有効性・真正性を証明できないため、両者を併用し、本人、券面、顔写真、仕事内容も確認します。利用するときは本人の同意を得て、原本の提示を受けてください。

在留カードには重要な個人情報が含まれます。コピーの保存をすべての雇用で法律上の一律義務と考えず、保存する場合は目的、閲覧できる担当者、保管場所、保管期間、廃棄方法を社内で定めてください。特定在留カードの裏面には個人番号が記載されるため、在留・就労確認だけを目的として個人番号を書き取ったり、裏面全体を漫然とコピー・保存したりしないでください。税・社会保険等の法令で認められた個人番号関係事務に必要な場合は、目的と取扱担当者を分けて管理します。外国人雇用状況の届出には、在留カード等の写しの添付は不要と案内されています。

STEP 2 予定する仕事内容と在留資格を照合する

就労系の在留資格は、認められた活動の範囲がある

「技術・人文知識・国際業務」「技能」「特定技能」など、活動内容に基づく在留資格では、担当させる仕事がその在留資格で認められる範囲に含まれる必要があります。会社の業種や求人票の肩書だけではなく、日常的に行う業務、各業務の割合、配属先、本人の学歴・職歴や資格を確認します。

たとえば、技人国で採用する場合は、単に「事務職」「技術職」と名付ければよいわけではありません。技人国で認められにくい仕事と採用前の確認事項も参考に、実際の業務が専門的な活動に当たるかを整理してください。技術・人文知識・国際業務の申請案内では、学歴・職歴と業務内容の確認方法を案内しています。

特定技能では、対象分野、業務区分、本人の要件、受入れ企業の基準や支援体制を確認します。所属機関が変わる転職では、同じ分野であっても在留資格変更許可申請が必要で、許可前に新しい所属機関で働くことはできません。特定技能外国人の受入れ手続特定技能外国人が転職するときの手続をご確認ください。

「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」など、身分・地位に基づく在留資格は、就労活動の種類に制限がありません。ただし、在留期限の管理や労働関係法令への対応が不要になるわけではなく、外国人雇用状況の届出も対象です。届出対象外の特別永住者とは区別してください。

「経営・管理」は事業の経営または管理を行う活動のための在留資格であり、一般の従業員として働くための資格とは位置付けが異なります。経営者・管理者としての活動を予定する場合は、経営・管理の在留資格から要件をご確認ください。

「特定活動」は指定書等も確認する

在留資格が「特定活動」の場合、認められる活動は一律ではありません。在留カードだけでなく、通常は旅券に添付等された指定書を本人から提示してもらい、予定する仕事が指定された範囲に含まれるかを確認します。

資格外活動許可は条件まで確認する

「留学」や「家族滞在」は、その在留資格だけで通常の就労が認められるものではありません。資格外活動許可を受けている場合は、許可された範囲で働くことができます。

包括的な資格外活動許可では原則週28時間以内ですが、複数の勤務先がある場合は合計時間で管理します。留学生は、教育機関の学則で定める長期休業期間中に限り1日8時間以内となる場合があります。風俗営業等に従事することはできません。「外国人なら誰でも週28時間働ける」という意味ではないため、在留カード裏面に加えて、必要に応じて資格外活動許可書や旅券の証印を確認してください。

就労資格証明書は任意の確認資料

転職等で、現在の在留資格により新しい会社で予定する仕事が認められるか分かりにくいときは、本人が就労資格証明書の交付を申請する方法があります。

就労資格証明書は、本人が行うことのできる就労活動を出入国在留管理庁長官が証明する文書です。取得が常に必須というものではなく、証明書自体が新たな就労許可を与えるものでも、将来の在留期間更新等を保証するものでもありません。本人が証明書を提示・提出しないことだけを理由に不利益な取扱いをしてはならないため、現在の在留資格と実際の仕事内容を確認する資料の一つとして扱います。

STEP 3 雇用契約と入社日を整理する

就労できることを確認したら、雇用契約書や労働条件通知書の仕事内容を、在留手続で説明する業務と一致させます。少なくとも、勤務場所、具体的な担当業務、賃金、労働時間、雇用期間を、本人が理解できる方法で確認します。

在留資格の変更や資格外活動許可等が必要な業務は、原則として必要な許可を得る前に始めることはできません。採用担当者、配属先、本人の間で「いつから、どの業務を担当できるか」を共有し、審査期間を見込んで入社予定を組みます。

STEP 4 採用後・離職時の外国人雇用状況届出

事業主は、外国人を雇い入れたときと離職したときに、氏名、在留資格等を確認し、ハローワークへ外国人雇用状況を届け出る義務があります。在留資格が「外交」「公用」の方と特別永住者は対象外です。

届出方法と期限は、雇用保険の被保険者になるかどうかで異なります。

区分 届出方法 雇入れ時 離職時
雇用保険の被保険者になる場合 資格取得届・資格喪失届に必要事項を記載 翌月10日まで 離職日の翌日から起算して10日以内
雇用保険の被保険者にならない場合 外国人雇用状況届出書(様式第3号) 雇入れ日の翌月末日まで 離職日の翌月末日まで

雇用保険の適用判断、資格取得・喪失、労働条件、社会保険等は労務分野です。具体的な手続は、ハローワークや社会保険労務士等へ確認してください。当事務所が行う在留資格の申請支援とは、制度上の役割が異なります。

採用前から社内で残しておきたい確認記録

担当者が変わっても同じ確認を続けられるよう、次の項目を採用時のチェックリストにすると実務的です。

  • 在留資格と在留期限
  • 就労制限の有無
  • 資格外活動許可、指定書等の有無と内容
  • 求人票、雇用契約書、実際の担当業務の一致
  • 読取アプリや失効情報照会を使った場合の確認日
  • 必要な在留申請と、許可前に就労を始めないための社内共有
  • 外国人雇用状況届出の担当者、方法、期限、完了日
  • 在留期限と業務・配属変更を継続確認する担当者

確認記録には、必要以上の個人情報を残さないことも重要です。旅券番号、在留カード番号、顔写真その他の情報を扱う場合は、利用目的とアクセス権限を明確にし、問い合わせフォームや通常のメールへ安易に送信しない運用にしてください。

確認を怠ると、本人と会社の双方に影響します

認められていない仕事をさせると、本人の在留状況だけでなく、不法就労をさせた会社側も責任を問われることがあります。知らなかった場合でも、在留カードを確認していないなどの過失があれば責任を免れない場合があると案内されています。

また、外国人雇用状況の届出をしない場合や虚偽の届出をした場合も、罰則の対象となることがあります。採用を避けるための話ではなく、日本人を含むすべての応募者に対して職務内容と必要資格を一貫した手順で確認し、適法に働ける状態を整えるための確認です。

行政書士へ相談できることと、労務手続との区分

当事務所では、採用予定の仕事内容と本人の在留状況を確認し、在留資格認定証明書交付申請、在留資格変更許可申請、在留期間更新許可申請等のうち、必要となる在留手続と資料を整理します。在留資格・外国人雇用の総合案内では、海外からの採用、国内での転職・資格変更、更新の入口を案内しています。

一方、雇用保険、労働条件、給与計算、社会保険、外国人雇用状況届出等の労務手続は、行政書士による在留手続とは分けて確認します。必要に応じてハローワーク、労働局、年金事務所、社会保険労務士等の担当窓口へご相談ください。

公式情報

本記事は2026年9月10日時点で、次の一次情報を確認して作成しています。在留資格、カード様式、アプリ、届出様式や制度運用は変更されることがあるため、採用・申請・届出時には各公式ページから最新版をご確認ください。

まとめ:内定後・就労開始前に「人・資格・仕事内容」を一組で確認する

初めて外国人を雇うときは、選考時に必要事項を自己申告で確認し、採用内定後・就労開始前に本人、在留資格と期限、就労制限、資格外活動許可や指定書、実際に任せる仕事内容を一組で照合します。そのうえで、必要な在留手続、入社日、外国人雇用状況届出、採用後の期限管理まで担当を決めます。

当事務所では、会社が予定する仕事内容と外国人本人の状況を伺い、必要な在留手続と申請資料を整理します。許可を保証するものではありませんが、募集・選考時に何を自己申告で確認し、内定後にどの書類を照合するか分からない段階からご相談いただけます。

外国人採用前の在留手続きを整理します

初回のお問い合わせでは、予定する仕事内容、勤務場所、採用時期、現在分かっている在留資格の概要をお知らせください。在留カード番号、旅券番号、顔写真、カード画像その他の機密情報は送らないでください。

外国人雇用の在留手続について相談する

よくある質問

在留カードを確認すれば外国人を雇用できますか?

採用内定後に在留カードを確認することは基本ですが、それだけでは足りません。在留資格、在留期限、就労制限、裏面の資格外活動許可を確認し、実際に任せる仕事内容が認められた活動に含まれるかを照合します。在留資格が「特定活動」の場合は、在留カードに加えて旅券に添付等された指定書で、指定された活動を確認します。

留学生をアルバイトとして雇う場合は何を確認しますか?

まず資格外活動許可の有無と許可内容を確認します。包括許可では原則週28時間以内ですが、複数の勤務先がある場合は合計時間で管理します。留学生は、教育機関の学則で定める長期休業期間中に限り1日8時間以内となる場合があります。風俗営業等に従事することはできないため、在留カード裏面や許可書等で条件を確認してください。

外国人雇用状況の届出を忘れるとどうなりますか?

外国人雇用状況の届出は事業主の義務で、届出をしなかった場合や虚偽の届出をした場合は罰則の対象となることがあります。雇用保険の被保険者になるかどうかで様式と期限が異なるため、採用時と離職時の社内手続に組み込み、最新の厚生労働省案内を確認してください。

在留資格と仕事内容が合うか判断できない場合はどうすればよいですか?

求人票の職種名だけで判断せず、日々担当する業務、業務量、配属先、本人の学歴・職歴や資格を整理します。在留資格に関する申請や確認は行政書士や地方出入国在留管理官署へ、雇用保険・労務・社会保険の手続はハローワークや社会保険労務士等へ確認してください。