中古品の売買を始めるとき、「まず個人で許可を取るか」「会社を設立して法人で申請するか」は迷いやすい点です。どちらでも申請できますが、許可は申請した個人または法人に対して与えられます。目先の書類の少なさだけでなく、仕入れ・販売・契約・口座・ウェブサイトを今後どの名義で運営するかまで考えて決めることが大切です。
古物商許可は個人でも法人でも申請できます
古物営業法は、古物営業を営もうとする者に公安委員会の許可を求めています。申請書の様式にも法人と個人の区分があり、大阪府警察は個人用・法人用それぞれの申請書類と記載例を公開しています。
許可が必要かどうかは、「個人だから不要」「法人だから必要」という区分だけでは決まりません。中古品等の売買、交換、委託を受けた売買・交換を営業として行うかなど、実際の取引から判断します。申請する場合は、個人・法人のいずれでも、欠格事由、営業所、営業所ごとの管理者、取り扱う古物の区分、ウェブサイト利用の有無等を整理します。
どちらが一律に許可を取りやすいという制度ではありません。法人では確認対象者と書類が増えることがありますが、それだけで法人が不利である、許可されにくいという意味ではありません。
個人申請と法人申請の違い
主な違いをまとめると、次のとおりです。
| 比較項目 | 個人 | 法人 |
|---|---|---|
| 許可を受ける主体 | 申請した個人 | 申請した法人 |
| 主な関係者 | 本人・各営業所の管理者 | 法人、対象役員・各営業所の管理者 |
| 法人関係書類 | 不要 | 定款・登記事項証明書等 |
| 申請手数料 | 19,000円 | 19,000円 |
| 将来の法人化 | 法人へ当然には引き継がれない | 法人が許可主体になる |
| 名義管理 | 本人名義を基準に整理 | 法人名義を基準に整理 |
手数料は、2026年9月19日時点の大阪府警察「古物商許可申請」に掲載された新規申請1件の金額です。不許可または申請取下げの場合も返還されないと案内されています。自治体の案内や金額が変わる可能性があるため、申請時点で再確認してください。
申請者と必要書類
個人申請では、本人と各営業所の管理者について、住民票、身分証明書、略歴書、役割に応じた誓約書等を確認します。法人申請では、法人の登記事項証明書と定款に加え、大阪府警察の現行案内上の対象役員と各営業所の管理者について同様の書類を整理します。
申請者本人や法人役員が管理者を兼ねる場合でも、誓約書は役割別に必要です。具体的な対象者、書類の種類、兼任時の扱いは、古物商許可の申請書・誓約書・略歴書の解説で詳しく説明しています。
信用・税務・社会保険は別の検討事項です
法人名義を求める取引先がある、組織として契約を整理しやすいなど、事業上の事情はあり得ます。一方で、法人なら必ず信用が高くなる、融資を受けやすい、節税になるとは一律にいえません。取引条件は相手先ごとに異なり、税務の個別判断は税理士、労働・社会保険は社会保険労務士の確認が必要です。
会社形態や設立時期も古物商許可だけで決めるものではありません。会社設立支援の案内も参考にし、事業計画全体から検討してください。
個人申請が向く可能性のあるケース
たとえば、次のような場合は個人申請から始める選択肢があります。
- まずは小規模に事業を始める予定である
- 当面、法人化する具体的な時期が決まっていない
- 本人を中心に営業所と管理者を整理できる
- 仕入れ、販売、契約、口座、ウェブサイトを本人名義で運営する予定である
ただし、「まず試したい」という理由だけで、許可前に古物営業を始めることはできません。大阪府警察は、申請書類を提出しても、許可決定の連絡を受けるまでは古物商として営業できないと案内しています。
また、近い時期に法人化が決まっている場合、個人の許可取得後に法人の新規申請が必要になる可能性まで含めて、二度の申請と切替時期を検討します。
法人申請が向く可能性のあるケース
次のような計画が具体化している場合は、最初から法人を許可主体とすることを検討できます。
- 法人名義で仕入れ、販売、契約、請求、口座管理を行う予定である
- 会社設立と事業開始の時期が具体的に決まっている
- 複数の役員や複数事業を含む運営体制を予定している
- ECサイト、ドメイン、プラットフォームの店舗アカウントを法人名義で運営する予定である
法人申請を選ぶ場合も、会社を設立すべきか、株式会社・合同会社等のどの形態にするかは別の検討事項です。一人で会社を設立する場合の一般的な流れは一人会社の設立手続もご覧ください。
当事務所が対応するのは、定款作成、事業目的の整理、電子定款認証支援、古物商許可申請等です。会社設立登記や目的変更登記の申請代理は行わず、登記はご本人による申請または司法書士への依頼となります。必要に応じて提携司法書士等と連携します。
個人で許可を取得した後に法人化する場合の注意
個人と法人は別の許可主体です。古物営業許可は申請者に対する許可であるため、個人名義の許可を法人名義へ単に書き換えて使うことはできません。警察庁の解釈運用基準も、別法人が従前の法人の許可を承継できないこと、許可が対人許可であることを示しています。個人事業から法人へ移り、法人名義で古物営業を行う場合も、法人自身による新規許可が必要です。
法人の許可決定前に、法人名義で古物営業を始められると考えないようにしてください。会社設立、法人の古物商許可申請、営業主体の切替、個人許可の廃業・許可証返納等の順序は、法人化の計画段階で管轄警察署へ相談します。申請日や審査結果、許可日を前提に、営業開始日を保証することはできません。
切替時には、次の名義も確認します。
- 商品の仕入れ・買取りと販売の契約主体
- 請求書、領収書、入出金口座の名義
- ECサイトやオークションストアの運営者名義
- ドメイン、URL、店舗アカウントの利用主体
- 営業所の契約と管理者の配置
固定URLを使ってネット取引を行う場合は、申請者がURLを使用できる関係を示す資料も確認します。古物商許可のURL届出を参考に、個人名義と法人名義を曖昧に混在させないよう整理してください。
会社設立時の事業目的と名義を整理します
法人の古物商許可申請では定款と登記事項証明書を提出します。会社設立時には、実際に行う中古品の取扱いと今後の事業を踏まえて事業目的を整理します。ただし、特定の文言を定款へ入れれば許可されると保証されるものではありません。古物商に関する事業目的の考え方もご覧ください。
行政書士は定款作成や事業目的の整理を支援できますが、登記申請代理は司法書士の業務です。定款、登記事項、実際の営業内容、古物商許可申請の記載に食い違いが出ないよう、担当範囲を分けて進めます。
申請書類の準備方法
個人・法人のいずれでも、許可申請書、誓約書、略歴書等を役割ごとに整理します。法人では定款・登記事項証明書や対象役員の書類が加わり、営業所が複数ある場合は営業所ごとの管理者も確認します。大阪府以外では必要書類や部数、案内方法が異なる場合があるため、申請先の最新版を使用してください。
古物商許可申請書メーカーは、入力内容から申請書、誓約書、略歴書等のPDF作成を支援するセルフサービスです。個人・法人の入力に対応しますが、許可取得、個別判断、添付書類の取得、警察署への提出、追加資料や補正対応を保証または包含するものではありません。
行政書士による必要書類の整理や申請支援を希望する場合は、古物商許可サービスと料金案内をご確認ください。
まとめ 誰の名義で事業を続けるかまで考えて選びましょう
古物商許可は個人でも法人でも申請でき、どちらが常に有利とはいえません。事業開始時期、法人化の予定、役員数、営業所、管理者、仕入れ・販売・契約・口座・ウェブサイトの名義を整理し、継続して事業を行う主体を選びます。
個人で始めた後に法人化する場合は、法人の新規許可と営業主体の切替が必要です。無許可期間を生じさせないよう、会社設立と許可申請の順序を早めに確認してください。古物商許可と会社設立を併せて検討している方は、お問い合わせフォームからご相談いただけます。
最新情報の確認先
本記事は2026年9月19日に、次の一次情報と当事務所の現行サービス案内を確認しています。法令、様式、手数料、必要書類及び警察署の運用は変更される可能性があるため、申請時点の最新版をご確認ください。
- e-Gov法令検索「古物営業法」
- e-Gov法令検索「古物営業法施行規則」
- 警察庁「古物営業法等の解釈運用基準」(令和8年5月14日)
- 大阪府警察「古物商許可申請」
- 古物商許可サービス
- 会社設立支援
- 料金案内
よくある質問
個人と法人では、どちらが古物商許可を取りやすいですか。
どちらかが一律に取りやすいとはいえません。個人・法人とも許可基準を満たす必要があり、法人では定款・登記事項証明書や対象役員の書類が加わります。書類の数と許可の受けやすさは分けて考えます。
個人で取得した古物商許可を、法人化後もそのまま使えますか。
個人と法人は別の許可主体であり、個人名義の許可を法人名義へ単に変更して使うことはできません。法人名義で古物営業を行うには、法人による新規許可が必要です。切替時期は事前に管轄警察署へ確認してください。
個人と法人で警察へ支払う申請手数料は違いますか。
2026年9月19日時点の大阪府警察の案内では、新規許可申請の手数料は個人・法人とも1件19,000円です。不許可や申請取下げの場合も返還されません。申請時点の最新案内をご確認ください。
法人で申請する場合、どのような書類が増えますか。
大阪府では法人の登記事項証明書と定款が必要です。また、現行案内上の対象役員と各営業所の管理者について、住民票、身分証明書、略歴書、役割に応じた誓約書等を確認します。
会社設立と古物商許可を一緒に相談できますか。
当事務所では、定款作成、事業目的の整理、電子定款認証支援と古物商許可申請をご相談いただけます。会社設立登記は本人申請または司法書士への依頼となり、必要に応じて提携司法書士等と連携します。
関連ページ
- 古物商許可サービス — 行政書士への依頼とセルフサービスの支援範囲を確認できます。
- 会社設立支援 — 定款作成、事業目的の整理、電子定款認証支援の範囲を案内しています。
- 古物商に関する事業目的 — 定款の事業目的を考える際の確認点を解説しています。
- 一人会社の設立手続 — 一人で会社を設立するときの流れと専門家の担当範囲を整理しています。
- 古物商許可の申請書・誓約書・略歴書 — 申請形態と役割ごとの書類を解説しています。
- 古物商許可のURL届出 — ネット取引とURL使用権限資料を確認できます。
- 料金案内 — 行政書士報酬と警察へ支払う申請手数料をご確認いただけます。
古物商許可と会社設立の順序を整理します。
事業開始時期、現在の名義、法人化の予定、営業所、管理者、ネット販売の方法を確認し、当事務所の対応範囲と必要な専門家をご案内します。




