「専任技術者」と営業所技術者等は同じ話?

「専任技術者」は旧来の呼び方です。現在は、一般建設業では営業所技術者、特定建設業では特定営業所技術者といい、合わせて「営業所技術者等」と呼びます。許可を受けて建設業を営む営業所ごとに、対象業種の資格・経験要件を満たす人を専任で置く必要があります。

ここで扱うのは、営業所に置く技術者の勤務体制です。工事現場の主任技術者・監理技術者を遠隔で配置できるか、あるいは現場技術者と兼務できるかは別の制度・判断です。資格・実務経験の確認経路を含む全体像は、営業所技術者等の要件を解説した記事をご覧ください。

テレワークでも「常勤・専任」は緩和されません

国土交通省の「営業所専任技術者等のテレワークに関するQ&A」は、テレワーク中も営業所勤務と同等の職務を遂行でき、所定時間中に常時連絡を取れる環境を求めています。同Q&Aは、専任要件そのものに変更はないことも明示しています。したがって、「自宅にパソコンがある」「週に何日か出社する」という一つの事実だけでは足りません。

勤務先の建設業者、その人を置く営業所、担当する許可業種を明確にした上で、営業所の見積り・入札・契約締結や履行を技術面から支える職務を、勤務時間中に実際に行えるかを確認します。他社や別の営業所で常勤・専任を要する職務を負っている場合は、同じ人を重ねて配置できると考えず、個別の兼務条件を確認してください。

会社が確認したい5つのポイント

1. 所属営業所と勤務時間が明確か

誰が、どの営業所の、どの許可業種を担当するのかを整理します。勤務日・所定時間、在宅勤務日、営業所へ出向く必要が生じた場合の運用も確認します。大阪府の手引きは、営業所技術者等を常勤性確認の対象としており、役員・従業員など立場に応じた確認資料を示しています。

2. 契約書・図面を確認し、常時連絡できるか

国土交通省のQ&Aは、判断材料の例として、メールの送受信・確認、契約書や設計図書などの閲覧、電話が常時つながることを挙げています。単に端末を貸与するだけでなく、必要な資料へ安全にアクセスできるか、問い合わせに勤務時間中対応できるかを運用面まで確かめます。

3. 無人になる営業所の連絡・対面対応はどうするか

全員がテレワークして営業所が無人になる場合、発注者等が勤務中の連絡先を把握できるようにする必要があります。また、対面の打ち合わせを求められる場合に備え、営業所で対応できる環境を整えることもQ&Aに示されています。「電話は転送できる」だけでは、対面の必要が生じたときの対応まで説明したことにはなりません。

4. 営業所へ常識上通勤できる場所か

国土交通省のQ&Aは、営業所へ常識上通勤不可能な場所でのテレワークは専任要件を満たさないとしています。緊急時の対面説明・現場確認も想定されるためです。在宅勤務だから遠方居住でも無条件に認められる、とはいえません。

大阪府の手引きにも、居所から営業所までの通勤に1時間半以上かかると思われる場合の確認資料の例が記載されています。ただし、この時間を「1時間半以上なら必ず不可」などの一律の可否基準に読み替えないでください。

5. 他社・他営業所の職務と重ならないか

大阪府の手引きは、他社等で常勤または専任を要する業務に従事する場合、重複して常勤性を確認できないことや、一定の同一法人・同一場所での兼務の扱いを記載しています。候補者が別会社の役員、別営業所の担当者、他法令上の専任職などを兼ねている場合は、役職名だけでなく勤務実態と適用される条件を個別に整理します。

申請前に整理する資料と、許可行政庁への確認方法

大阪府知事許可を想定する場合、まず最新の大阪府「建設業許可の手引き」で、候補者の立場に応じた常勤性の確認資料を確認します。さらに、テレワークの実態を説明するため、次のような情報を会社内で整理しておくと、論点を伝えやすくなります。

  • 候補者の所属、雇用・役員関係、担当営業所・許可業種
  • 所定勤務時間、在宅勤務日、営業所へ出向く運用
  • メール・電話、契約書・図面を確認できる環境
  • 営業所が無人になる時間帯と、発注者等への連絡先案内・対面対応方法
  • 居所から営業所への移動方法・所要時間、他社等での職務の有無

これは会社が事前に整理する情報の例であり、大阪府が全件で同じ資料の提出を求めるという意味ではありません。就業規則やテレワーク規程、勤務記録などのうち何を確認資料として求められるかも、申請先と事案によって異なります。

許可行政庁へ問い合わせる際は、「テレワークは可能ですか」とだけ尋ねるより、所属営業所・勤務時間・業務環境・距離・無人時の対応・兼務状況を具体的に示し、どの点に判断が必要かを確認します。説明した事実、回答日、担当窓口、求められた資料を記録し、申請時の勤務実態が変わったら再確認しましょう。事前相談が法律上すべての案件に義務付けられていると断定はしませんが、遠方居住や兼務など判断が難しい案件では特に有用です。国土交通大臣許可や他府県知事許可については、その申請先の取扱いを確認してください。

判断を急がないほうがよいケース

「週の一部だけ在宅勤務」「営業所が日中無人になる」「居所が遠い」「他社の役員も務める」といった事情は、いずれも一語で可否を決められません。勤務実態と職務遂行体制を整理せず、雇用や申請の予定を先に確定してしまうと、後から資料・体制を整えるのが難しくなることがあります。

一方で、テレワークをしているというだけで候補者から除外する必要もありません。常勤性の資料と、専任の職務を続けられる運用を別々に確認することが、申請前の要点です。

公式情報の確認先

本記事は2026年9月28日時点で、次の一次情報を確認して作成しています。申請時は最新の手引きと許可行政庁の案内をご確認ください。

よくある質問

テレワーク中の営業所技術者等は毎日出社する必要がありますか。

出社日数だけで一律に判断するものではありません。ICTで営業所勤務と同等の職務を遂行し、所定時間中に常時連絡できることなど、常勤・専任の要件を実態に即して確認します。出社が不要と無条件に決まるわけでもありません。

営業所から遠く離れた場所に住んでいてもテレワークなら認められますか。

いいえ。国土交通省のQ&Aは、営業所へ常識上通勤不可能な場所でのテレワークは専任要件を満たさないとしています。距離や移動時間だけの全国共通の数値基準として単純化せず、居住地と対面対応の実態を確認してください。

営業所が無人になる日があっても問題ありませんか。

無人であることだけで直ちに結論は出ません。発注者等がテレワーク中の連絡先を把握でき、営業所で対面の打ち合わせ等が可能な環境を整えておく必要があると、国土交通省のQ&Aは示しています。

テレワークの事前相談は法律上必須ですか。

すべての申請について事前相談を義務付ける一律の規定としては案内していません。ただし、勤務場所、距離、兼務、無人時の対応などに判断が必要な場合は、申請先の許可行政庁に勤務実態と確認資料を整理して事前確認するのが安全です。

関連ページ・ご相談

勤務体制を固める前に、候補者と営業所の関係を整理しましょう。

予定する営業所・許可業種、候補者の勤務場所と勤務時間、連絡・対面対応の方法を分かる範囲でお知らせください。初回のお問い合わせでは個人番号や機密の契約書原本を送らず、資料の提出方法を確認してからご用意ください。

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