結論:同じ期間を二つの業種に数えないのが原則です
大阪府の建設業許可申請の手引き第2章・2-22頁は、一人の営業所技術者等が複数業種を担当できる一方、二つ以上の建設業について実務経験を要する場合はそれぞれ異なる期間が必要で、重複する経験期間を二重に計算しないと示しています。
ただし「一度使った年数は永久に消費される」「提出したらどんな訂正もできない」という意味ではありません。証明書を書く前に、どの業種で、どの工事に、いつ従事したかを事実に沿って整理します。過去の提出内容に誤りがある場合は、後述する訂正手続の可否と既存許可への影響を個別に確認します。
ここで扱うのは、営業所技術者等の技術上の実務経験です
この記事は、一般建設業許可の営業所技術者を実務経験で証明する場面を中心に説明します。旧称の「専任技術者」に当たる要件です。建設業法第7条第2号と国土交通省「許可の要件」では、申請する業種に応じた資格、指定学科と経験、10年以上の実務経験などの確認ルートを設けています。
大阪府手引きの「実務の経験」は、建設工事の施工に関する技術上の職務経験です。単に建設会社へ在籍していた年数や、雑務だけの期間と同じではありません。工事へ具体的に携わった期間を積み上げ、工事内容・工期・本人の在籍を資料で確かめます。営業所技術者等の要件と、常勤役員等に求められる経営業務の経験も別の論点です。
特定建設業の指導監督的実務経験との期間の重なりには、大阪府手引き2-23~2-24頁の別の注記があります。一般建設業の複数業種に関する原則を、特定建設業へ無条件に当てはめません。
期間の重なりを、暦の上で見えるようにします
次は考え方だけを示す模式例で、実際の許可要件を満たす年数の例ではありません。スマートフォンでは表を横にスクロールできます。
| 暦の期間 | 工事の事実 | 証明の検討 |
|---|---|---|
| ある年の4~6月 | 業種Aの対象工事に従事 | Aの経験期間として検討 |
| 同じ年の4~6月 | 業種Bの工事にも関わった場合 | 同じ暦期間をBにも二重算入する扱いにはしない |
| 同じ年の7~9月 | 業種Bの対象工事に従事 | 別の期間としてBの経験を検討 |
工事が実在したか、両業種の工事をどの時期に担当したかは、まず事実のまま年表に記録します。その上で、必要年数に算入する期間の重なりを確認します。証明期間をずらすために実際の工期を変えたり、従事していない期間を書いたりしてはいけません。
大阪府手引きには、平成28年5月31日までに、とび・土工工事業許可で請け負った解体工事の期間について、とび・土工工事業と解体工事業の両方で計算できる限定的な取扱いがあります。すべての業種の組合せへ広げないでください。また、国土交通省の複数業種に係る実務経験一覧には、対象業種の組合せと条件を限定した別ルートがあります。「二業種なら必ず合計20年」とも断定できません。
一人が複数業種を担当する場合も、要件は業種ごとに確認します
同じ人が複数の許可業種の営業所技術者等になること自体は可能です。ただし、各業種で使う資格や実務経験の要件を一つずつ確認します。ある業種は資格で満たし、別の業種は経験を要することもあります。資格証があれば必ず追加経験が不要になるわけではなく、資格の種類と対象業種によって条件が異なります。
10年の実務経験の証明や指定学科と卒業後の経験も、候補となるルートを整理する際に参考にしてください。「未使用年数の残高」が制度として積み立てられると考えるのではなく、実際の工事と各ルートの要件を対応させます。
実務経験証明書を書く前の確認順序
- 取得したい業種と優先順位を決め、一般・特定の区分と営業所を確認する。
- 候補者の資格、卒業した指定学科、検定合格時期を業種ごとに調べ、実務経験を要するルートを特定する。
- 工事ごとの内容、請負関係、工期、本人の担当職務を事実のまま年表にする。同じ暦期間に複数工事があれば、その重なりも残す。
- 在籍資料と工事実績資料を探す。大阪府手引き第2章の2-24~2-26頁は、実務経験証明書の代表工事や、過去の申請・変更届等を用いる確認方法を案内している。
- 過去の実務経験証明書と許可申請資料を入手できる範囲で照合し、今回の期間・業種との不一致や重複を探す。
- 旧とび・土工/解体工事の限定的取扱いや、国交省の複数業種ルートに該当するかを条件ごとに確認する。
大阪府の建設業許可申請の手引き第2章と建設業許可変更等届出の手引きを見て、申請・変更のどちらに該当するかも確認します。様式第9号には事実に即して記載し、必要年数・工事実態・証明者・申請業種を踏まえて申請先の記載要領に従ってください。過去の証明資料を確認することは、前職の経験が転職で消えるという意味ではありません。
提出済み書類に誤りがあるときは、訂正と再配分を分けます
大阪府の建設業許可申請書等の記載事項の訂正案内と大阪府建設業法施行細則第6条には、提出済み申請書等の記載に誤りがある場合の訂正手続が定められています。一方、大阪府は訂正に応じられない場合、別の手続や事実を証する資料が必要な場合もあると案内しています。
そのため、誤記を正す手続があることと、審査済みの経験期間を希望どおり別業種へ付け替えられることは分けて考えます。元の申請書、実務経験証明書、工事と在籍の資料をそろえ、提出時期、訂正したい箇所、既存許可の要件への影響を申請先に具体的に相談してください。結果を保証するものではありません。
申請前のチェックリスト
- 許可を取りたい業種、優先順位、一般・特定の区分を整理した
- 業種ごとの資格・学歴・実務経験ルートを確認した
- 工事内容、工期、担当職務を事実に沿って年表にした
- 同じ暦期間が二つの業種の必要年数へ重複していないか確認した
- 工事実績、在籍、過去の申請・変更届の資料を探した
- 限定的な例外・複数業種ルートの条件を確認した
- 提出済み書類との不一致は、証拠を添えて申請先へ相談する準備をした
公式情報
本記事は2026年9月27日時点の一次情報に基づき、大阪府知事への一般建設業許可申請を中心に整理しました。大阪府以外へ申請する場合は、申請先許可行政庁の最新版と運用を確認してください。
- e-Gov法令検索「建設業法」
- e-Gov法令検索「建設業法施行規則」
- 国土交通省「許可の要件」
- 国土交通省「指定学科・複数業種に係る実務経験」
- 大阪府「建設業許可の手引き」
- 大阪府「令和8年3月改訂版・第2章」
- 大阪府「建設業許可変更等届出の手引き」
- 大阪府「建設業許可申請書等の記載事項の訂正」
よくある質問
一人で複数業種の営業所技術者等を担当できますか。
同じ営業所で、一人が各業種の技術者要件をそれぞれ満たせば、複数業種を担当できる場合があります。ただし、二つ以上の業種で実務経験を要する場合は、原則として同じ期間を二重に計算できません。
同じ暦期間に別業種の工事もしていれば、両方に算入できますか。
大阪府の一般建設業許可では、経験期間が重複するものは原則として二重に計算せず、二つ以上の業種で実務経験を要する場合は異なる期間が必要です。旧とび・土工工事業と解体工事業には限定的な取扱いがあるため、工事内容と時期を示して申請先に確認してください。
一方の業種を資格で証明すれば、経験期間は必ず別業種に使えますか。
資格ごとに対象業種と追加の実務経験の要否・年数が異なるため、必ず使えるとはいえません。各業種の資格要件と、実務経験が必要な期間を個別に確認してください。経験が残高のように保存・消費される制度と考えないことも大切です。
提出済みの実務経験証明書に誤りがあれば訂正できますか。
大阪府には許可申請書等の記載事項の訂正手続がありますが、訂正に応じられない場合や別手続・裏付け資料が必要な場合もあります。誤記の訂正と経験期間の任意の付け替えを同一視せず、元の申請資料と証拠を持って申請先に個別相談してください。
転職したら、前職で証明した実務経験はなくなりますか。
転職だけで本人の実際の工事経験が消えるわけではありません。一方、過去の申請・証明内容と新たな申請で使う期間や証拠資料の整合は確認が必要です。入手できる前職の申請資料と在籍・工事資料を整理し、申請先に相談してください。
提出前に、期間と証拠を同じ年表で確認しましょう
申請したい業種、資格・学歴、工事の実際の期間、過去の証明内容を一枚の年表で照合すると、申請先に確認すべき点が明確になります。建設業許可の要件全体も併せて確認してください。
タケウチ行政書士事務所では、大阪府への申請を中心に、業種ごとの要件と資料の整理を支援します。個別の認定や許可を保証するものではありません。まずは大阪の建設業許可申請支援をご覧ください。
実務経験の年表と証明資料を一緒に整理します。
取得したい業種、候補者の資格・学歴、工事時期と手元の資料を分かる範囲でお知らせください。初回フォームへ個人番号や機密資料の原本画像を送らず、提出方法を確認してからご用意ください。




