業種ごとに営業所技術者等の要件は異なります
建設業許可では、許可を受けて建設業を営む営業所ごとに、申請する業種に対応した営業所技術者等を専任で置きます。現在の正式名称は、一般建設業が営業所技術者、特定建設業が特定営業所技術者です。両者をまとめて「営業所技術者等」と呼び、改正前の「専任技術者」に当たります。
必要な資格・経験は、一般建設業か特定建設業かだけでなく、土木、建築、電気、管、機械器具設置などの許可業種ごとに異なります。ある資格で複数業種を担当できることもあれば、似た設備工事でも対象業種が異なり、その資格を使えないこともあります。
また、営業所技術者等は営業所で請負契約の適正な締結・履行を技術面から支える人です。工事現場に置く主任技術者・監理技術者とは役割を分けて確認します。制度全体は営業所技術者等の役割・資格・実務経験をご覧ください。
機械器具設置工事業が難しくなりやすい三つの理由
機械器具設置工事業に制度上の「最難関」という順位が付いているわけではありません。それでも、準備が難しくなりやすい理由があります。
1.資格だけで直接該当する経路が限られます
国土交通省告示では、機械器具設置工事業について、技術士第二次試験の機械部門または総合技術監理部門(選択科目が機械部門に係るもの)の合格者が示されています。
一方、一般建設業には、該当する技術士以外にも、指定学科と実務経験、対応する第一次検定合格後の実務経験、申請業種に関する10年以上の実務経験などがあります。「資格ルートが狭い」と「資格がなければ申請できない」を同じ意味にはしません。
2.機械の設置でも、別の専門工事になることがあります
機械器具設置工事の例には、プラント設備、運搬機器、内燃力発電設備、集じん機器、給排気機器、揚排水機器、舞台装置、サイロ、立体駐車設備などの設置工事があります。
ただし、機械器具の種類によっては、電気工事、管工事、電気通信工事、消防施設工事などの専門工事と重なります。原則としてそれぞれの専門工事へ区分し、いずれにも当てはまらない機械器具や複合的な機械器具の設置を機械器具設置工事として検討します。
商品名、見積書の「機械設置一式」という記載、会社の業種だけでは決めません。仕様書や図面を含む実際の施工内容から判断します。詳しくは機械メーカーなどで建設業許可を検討する場面でも解説しています。
3.実務経験の年数と工事内容の両方を示す必要があります
実務経験による経路では、機械設備に関係する会社へ在籍していた期間だけでは足りません。申請業種に該当する建設工事の施工について、技術上の職務に従事した期間を確認します。
長期間の経験を使うほど、古い契約書、注文書、請求書、図面、工事台帳や在籍資料が残っていないことがあります。資料が残っていても、「設備工事」「据付一式」だけでは工事業種を判断できない場合があります。
一般建設業で確認する主な資格・実務経験ルート
次の表は、機械器具設置工事業について検討する主な経路を整理したものです。資格名称や必要年数だけで結論を出さず、大阪府の最新の有資格コード表と手引きを候補者ごとに照合します。
| 区分・経路 | 追加の実務経験 | 主な確認資料 | 個別確認が必要な点 |
|---|---|---|---|
| 一般:該当する技術士 | 資格だけで直接該当する場合は不要 | 合格証、登録証等 | 機械部門または総合技術監理部門の選択科目 |
| 一般:指定学科修了 | 大学等卒業後3年以上、高校等卒業後5年以上など | 卒業証明書、履修・学科資料、実務経験証明書、工事・在籍資料 | 建築学・機械工学・電気工学に関する学科への該当性、学校区分 |
| 一般:対応する第一次検定合格 | 1級第一次検定は合格後3年以上、2級第一次検定は合格後5年以上 | 合格証明書、実務経験証明書、工事・在籍資料 | 建築・電気工事・管工事施工管理の対応、合格後の期間であること |
| 一般:10年以上の実務経験 | 申請業種に関する10年以上 | 実務経験証明書、契約・注文・請求関係資料、図面等、在籍資料 | 工事業種、経験期間の重複、証明者、資料の連続性 |
| 特定:該当する国家資格等 | 資格区分による | 資格証明書、有資格コード表で求める資料 | 一般用と特定用の資格区分を混同しない |
| 特定:指導監督的実務経験 | 一般の要件に加え、対象工事について2年以上 | 元請契約、請負金額、工事内容、役割・期間を示す資料 | 発注者から直接請け負った税込4,500万円以上の工事であることなど |
専門学校については、修了者の区分や専門士・高度専門士の称号により必要年数が異なります。指定学科の名称も、卒業証明書に「機械」と書かれていれば常に足りるとは限りません。学科内容を含めて確認します。
2023年7月1日の要件見直しでは、対応する技術検定の第一次検定合格者を指定学科修了者と同等に扱う経路が追加されました。機械器具設置工事業の例では、建築・電気工事・管工事施工管理技術検定の第一次検定が示されています。数えるのは原則として合格後の実務経験であり、合格前の経験をそのまま3年・5年の期間へ入れる説明ではありません。
特定建設業では、一般建設業の経路だけで決めません
特定建設業の特定営業所技術者は、一般建設業より限定された要件を確認します。機械器具設置工事業は、土木・建築・電気・管・鋼構造物・舗装・造園の「指定建設業7業種」には含まれません。
そのため、該当する国家資格等のほか、一般建設業の営業所技術者に相当する要件を満たし、発注者から直接請け負った税込4,500万円以上の機械器具設置工事について、2年以上の指導監督的実務経験を持つ経路を検討できる場合があります。
ここでいう指導監督的実務経験は、工事の設計または施工の全般について、工事現場主任や現場監督者のような立場で技術面を総合的に指導監督した経験です。単に元請会社へ在籍したことや、4,500万円以上の工事に部分的に関わったことだけで判断しません。
実務経験を示す資料は四つの軸で整理します
大阪府知事許可で実務経験を使う場合は、少なくとも次の四つを対応させます。
- 工事内容:機械器具設置工事に当たる具体的な設備と施工範囲
- 期間:本人が技術上の職務へ従事した工期と経験期間
- 請負・営業の事実:証明者がその工事を請け負い、当該業種を営んでいたこと
- 本人との関係:その期間の在籍、常勤や雇用関係
資料は、過去の許可申請書・変更届・決算変更届、工事の契約書、注文書、請求書、内訳書、図面、仕様書、工事台帳、在籍を示す資料などから確認します。どれか一種類があれば常に十分というものではありません。
特に機械器具設置工事では、工事名だけで電気・管などとの区分が分からないことがあります。設備の全体構成、基礎や固定、配管・配線、試運転、各専門工事の担当範囲が分かる資料を探します。10年経路の資料整理は実務経験10年の証明方法も参考にしてください。
申請前は「業種、一般・特定、候補者、資料」の順で確認します
候補者の資格証から始める前に、実際に請け負う工事と許可業種を確定します。おすすめの順序は次のとおりです。
- 見積書、契約書、仕様書、図面から実際の施工範囲を確認する
- 機械器具設置工事と他の専門工事の区分を整理する
- 一般建設業・特定建設業のどちらを検討するか確認する
- 候補者ごとに技術士、学歴、第一次検定、その他の資格を一覧にする
- 各経路で必要な実務経験の期間を年表にする
- 工事内容と在籍を示す資料を期間ごとに対応させる
- 常勤性・専任性、他社・他営業所・他法令上の職務との兼務を確認する
- 申請先の最新手引きと有資格コード表で最終確認する
資格試験の難易度や有資格者数だけで申請可能性を判断するより、候補者全員の資格・学歴・実務経験を並べ、最も証明しやすい経路を比較する方が実務的です。
最新情報の確認先
本記事は2026年9月29日時点で、次の一次情報を確認して作成しています。資格区分、必要年数、請負金額、確認資料や行政庁の取扱いは変更されることがあるため、申請時点の最新版をご確認ください。
- 国土交通省「許可の要件」
- 国土交通省「一般建設業許可の営業所専任技術者等の要件緩和」
- 国土交通省告示「建設業法第七条第二号イ又はロに掲げる者と同等以上の知識及び技術又は技能を有する者」
- 国土交通省「建設業許可事務ガイドライン」
- 大阪府「建設業許可の手引き」
- 大阪府「許可・業種別有資格コード表」
- 大阪府「建設業許可申請の手引き(令和8年3月改訂版)第2章」
よくある質問
機械器具設置工事業は、技術士がいなければ許可を取得できませんか。
いいえ。該当する技術士は資格だけで要件を確認できる重要な経路ですが、一般建設業には指定学科修了後の実務経験、対応する第一次検定合格後の実務経験、10年以上の実務経験などの経路もあります。候補者ごとに使える経路と証明資料を確認します。
管工事施工管理技士に合格していれば、機械器具設置工事業の営業所技術者になれますか。
合格区分と時期だけで直ちに決まるものではありません。2023年の見直しでは、対応する第一次検定の合格者を指定学科修了者と同等に扱い、1級第一次検定は合格後3年以上、2級第一次検定は合格後5年以上の機械器具設置工事に関する実務経験を確認する経路が設けられました。実際の工事内容と経験期間を資料で示す必要があります。
機械の据付工事はすべて機械器具設置工事の実務経験になりますか。
一律には扱えません。設備の種類や施工内容により、電気工事、管工事、電気通信工事、消防施設工事などに区分される場合があります。契約書、注文書、仕様書、図面、工事写真等から、何をどのように設置した工事かを確認します。
機械器具設置工事業は29業種の中で最も難しい業種ですか。
制度上の公式な難易度順位はありません。資格だけで直接該当する経路が限られ、工事業種の区分や長期間の実務経験の証明が難しくなりやすいという特徴はありますが、申請の難しさは候補者の資格・学歴・経歴と資料の残り方によって異なります。
特定建設業でも10年の実務経験だけで要件を満たせますか。
一般建設業の10年実務経験だけで特定建設業の要件を満たすわけではありません。機械器具設置工事業では、該当する国家資格のほか、一般建設業の要件を満たしたうえで、発注者から直接請け負った一定額以上の工事について2年以上の指導監督的実務経験を確認する経路などを検討します。
関連ページ
- 大阪の建設業許可申請 — 許可区分、支援範囲、料金と申請の流れをご案内します。
- 営業所技術者等の役割・資格・実務経験 — 業種共通の制度と現場技術者との違いを解説します。
- 実務経験10年の証明方法 — 古い工事資料がない場合の確認順序を整理しています。
- 建設会社でなくても許可が必要になる場合 — 機械メーカーなどの契約・施工内容から許可業種を検討します。
候補者の資格・学歴・工事経歴を、申請業種ごとに整理します。
取得したい業種、一般・特定の区分、候補者の資格・学歴・職歴、確認できる工事資料を分かる範囲でお知らせください。初回フォームへ個人番号、資格証の原本画像その他の機密資料は送らず、資料の提出方法を確認してからご用意ください。




