建設業界は日々進化しており、その中心にあるのが「建設キャリアアップシステム(CCUS)」です。
このシステムの登録は、現場の効率化やスキルの可視化に寄与していますが、特に一人親方としての利用には注意が必要です。
一人親方がCCUSに登録する際のメリットと注意点を解説します。

CCUS(建設キャリアアップシステム)の事業者登録は一人親方でもしなきゃいけない?

CCUSへの情報登録について

CCUSを利用する際のステップとして、最初に事業者情報(会社の詳細)と技能者情報(職人の詳細)を登録することが求められます。
事業者情報は登録直後から利用可能ですが、技能者情報はその事業者に所属しているという関連性を持つために利用できるようになります。

そのため、通常は事業者情報と技能者情報の両方がセットで必要です。この基本情報を踏まえて、特に一人親方の方々の登録方法について詳しくお伝えします。

一人親方の登録方法は主に2通りです。

  1. 法人や個人事業主と同じく、事業者と技能者の双方を登録する方法です。
    多くの方が「一人親方なのに、なぜ事業者としての登録が必要なの?」と疑問に思うかと思います。
    CCUSの仕組み上、事業者と技能者の情報はセットで考えられているため、一人親方の方も事業主としての立場と職人としての立場、この2つの役割を持っていると解釈され、両方の登録が必要とされます。
  2. 元請など上位の会社に所属する専属職員として、技能者のみを登録する方法です。
    「専属職員」とは何かと疑問に思う方も多いでしょう。
    専属職員とは、上位の会社の業務を100%担当している一人親方のことを指します。
    この場合、従業員としての役割が強いため、事業者としての登録は不要とされています。
    ただし、専属の一人親方としての登録には注意点も存在します。

ゼネコンにおける一人親方の取り扱いは、ゼネコンの規模や所長の方針によって異なる場合があります。
特に大手ゼネコンでは、一人親方が請負で仕事を契約しているにも関わらず、施工体制に登録せずには仕事ができないという方針を取っているところが多いようです。

このようなゼネコンでは、専属の一人親方を認めない方針を持っているため、先ほどお伝えした2つめの「専属職員として技能者のみを登録する方法」を選択すると、CCUSの利用案件での現場入場が許可されなくなるリスクが高まります。
そのため、専属の一人親方の方々は、改めて事業者としての登録を行う必要があるのです。

また、事業者としての登録(事業者IDの取得)には1.0~1.5ヶ月程度の時間がかかる点も留意が必要です。
この期間はゼネコンやCCUSの手続きの都合上、変動することがありますので、計画的に手続きを進めることをおすすめします。

一人親方の事業形態とは?個人事業主とは違う?

さて、ここまで一人親方という名称を使ってきましたが、事業を始める際には、その事業形態を正確に理解しておくことが非常に重要です。
一人親方という言葉が多くの方には馴染みがありますが、実際の定義やその特性を詳しく知らない方も多いと感じます。
そこで、この機会に事業形態に関する基礎的な知識をとしてお伝えしたいと思います。

  1. 法人
    法人は、法律によって人格を持つと認められた組織を指します。
    会社名に「株式会社」「合同会社」「合資会社」「合名会社」といった接頭語がつく企業は、この法人に該当します。また、非営利を目的とした「一般社団法人」「一般財団法人」なども法人のカテゴリに属します。
  2. 個人事業主
    法人を設立せず、個人で事業を営む人のことを指します。
    従業員を雇用することもでき、その人数に上限は設けられていませんが、一般的には2人から10人程度の小規模な事業所が多いです
  3. 一人親方
    一人親方は、個人事業主の一種として位置づけられます。
    最大の特徴は「従業員を雇用していない」という点です。
    そのため、事業主としても働く一方で、職人としても働くことが求められる立場です。
    しかし、現在の社会状況を鑑みると、一人親方の立場が労働者としての側面も強く持っているため、その定義や取り扱いについての議論も存在します。

一人親方はお得

さて、ここで一人親方に関するお得な情報をお伝えします。
CCUSの利用において、個人事業主と一人親方での料金が異なります。
具体的には、個人事業主の場合、事業者登録料が6,000円、事業者ID利用料が11,400円となります。
一方、一人親方の場合は、事業者登録料が0円、事業者ID利用料が2,400円と、大幅に費用が削減されます。
この差額は15,000円となりますので、一人で事業を行っている方や、近いうちに従業員を雇用する予定がない方は、一人親方としてCCUSへの登録を検討することをおすすめします。
※管理ID利用料は法人、個人事業主、一人親方に関わらず年間11,400円かかります。

結論

確かに、近年の業界の動向を見ると、IT技術の進化に伴い、多くの現場作業でもITシステムの利用が一般的となってきました。
かつての手作業中心の時代とは大きく変わり、一人親方さまをはじめ多くの方々が「ITがこんなにも必要だったのか」と感じる時代となっています。

そうした中、建設キャリアアップシステム(CCUS)は、単なる一過性のシステムではなく、継続的な利用を通じて、各人の経験や技能が蓄積されるシステムとして設計されています。
これは、技術者の皆様が長年にわたり培ってきた経験や技能を正当に評価し、将来的にその価値を最大化するためのシステムです。
小さな木が大木に成長するように、最初は手間がかかるかもしれません。
しかし、その手間をかけることで、システムは徐々に自身のキャリアや技能を映し出す鏡となり、結果として多くの恩恵をもたらしてくれると思われます。

私たち行政書士としても、一人親方さまをはじめとした皆様がITシステムを上手く活用し、その真価を発揮できるようサポートしていきたいと考えています。
日常の業務が忙しく、新しいシステムの導入や利用に迷いや不安を感じることもあるかと思いますが、長期的な視点での取り組みを心がけ、根気強く利用することで、その価値を実感していただけると確信しております。

事務所概要

事務所名タケウチ行政書士事務所
行政書士竹内 聡貴
所在地〒536-0013 大阪府大阪市城東区鴫野東1丁目14-19
電話番号06-7502-6184
FAX番号06-6734-3742
E-MAILoffice(アットマーク)take.osaka.jp 
※(アットマーク)を@にして下さい
事務所サイトhttps://office.take.osaka.jp/
決済方法銀行振込
インボイス登録番号T1810061634495
事務所報酬以外の必要経費銀行振込の場合、振込手数料
許可申請に係る役所への手数料
許可申請書作成のコピー代・郵送料など
公的書類(登記簿謄本など)の発行手数料
※申請する役所への交通費をお願いする場合があります。

この記事を書いた人

タケウチ行政書士事務所代表

特定行政書士 竹内 聡貴

日本行政書士会連合会 19260966号
大阪府行政書士会 007757号
申請取次行政書士(大阪出入国在留管理局長承認
公益法人コスモス成年後見サポートセンター会員 No.2603345